移民排斥政党AfDが支持率2位に浮上、与党の対立追い風に

移民排斥を掲げる新興右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が政党支持率で中道左派の与党・社会民主党(SPD)を抜き2位に浮上した。極右の排外主義に絡んで問題発言をした憲法擁護庁(BfV)長官の処遇をめぐる与党内の争いで漁夫の利を得た格好だ。現政権が危機に陥るのは3月の発足以降、すでに2度目となっており、議会の解散・総選挙を求める声が強まっている。

公共放送ARDが21日発表した最新の世論調査によると、AfDの支持率は18%に達し、前回調査(6日発表)に比べ2ポイント上昇した。SPDは1ポイント減の17%となり、ARDの調査では初めて3位へと転落。連立先である中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)も1ポイント減の28%へと低下し、同調査を開始した1997年11月以降の最低を記録した。与党3党の支持率は計45%で、過半数を大きく割り込んでいる。

独東部のケムニッツでは8月下旬、難民によるキューバ系ドイツ人の殺害事件が起きた。これを機に極右がデモを実施するとともに、路上の外国人を追い回す威嚇行為を行った。そうした場面を撮影した被害者のスマホ画像はテレビで放映された。

政府官房のザイフェルト報道官はこの映像を踏まえ、外見や出身地が異なる人々を狩りのように追い立てることは許容できないとする政府見解を発表した。独メディアは、極右による「外国人の追い回し」が以前から行われていたと報じている。

これに対し、BfVのハンスゲオルク・マーセン長官は大衆紙『ビルト』のインタビューで、外国人の追い回しが行われたという情報はないと明言。政府見解の根底にある事実認識に疑問を投げかけた。

これを受けてSPDはマーセン長官の解任を要求。受け入れられなければ政権を離脱する意向を表明した。これに対しBfVの所轄大臣であるホルスト・ゼーホーファー内相(CSU党首)がマーセン長官を擁護したことから、与党3党の党首が解決策の模索に向けて協議した。最終的に解任で合意したものの、マーセン長官を格上の内務省事務次官へと昇進させるという内容だったため、強い批判が出ている。

政府に対する市民の信頼感は低下しており、ビルト紙が21日公表したアンケート調査では議会の解散・総選挙に賛成との回答が47%に達した。

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