メルケル首相に新たな痛手、腹心のカウダー氏が院内総務選で敗北

独連邦議会(下院)で統一会派を組む保守系与党のキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の院内総務選挙が25日、行われ、支持基盤を持たないラルフ・ブリンクハウス議員(CDU)が現職のフォルカー・カウダー院内総務(CDU)を破って新たな院内総務に選出された。カウダー氏はアンゲラ・メルケル首相の腹心であり、メルケル首相の求心力の低下が改めて浮き彫りになった格好だ。

院内総務選ではブリンクハウス氏が52.7%(125票)の支持を獲得。カウダー氏は47.3%(112票)にとどまった。

カウダー氏はメルケル氏が初めて首相に就任した2005年11月にCDU/CSUの院内総務に選出された。その後13年間、会派のトップとしてメルケル首相を忠実に支えてきた。メルケル首相の人気が高い時期はカウダー氏のそうした姿勢に異議を挟む議員はほとんどいなかったが、15年の難民大量受け入れ決定で首相の求心力が弱まり、CDU/CSUの支持率も低下すると状況は変化。昨年秋の院内総務選挙では対立候補がいなかったにも関わらず得票率は77%にとどまり、従来の90%超から大幅に落ち込んだ。

カウダー院内総務に対しては最近、CDUとCSUの統一会派をメルケル政権に対する議会の支持を取りつける手段として利用するだけで、政府に対する会派の自立性を軽視しているとの批判が出ていた。

一方、ブリンクハウス氏は、政府に対し会派が積極的な役割を演じる必要性をアピール。また、難民問題をめぐりCDUとCSUに亀裂が走っていることを念頭に、チームスピリットの強化を訴えた。

メルケル首相の指導力の低下は3月に成立した現政権下で一段と鮮明になっている。今夏には難民政策をめぐってCSUの党首であるホルスト・ゼーホーファー内相と対立。政権崩壊一歩手前の状況へと陥った。9月中旬から下旬にかけても、問題発言を行った憲法擁護庁(BfV)長官の更迭をめぐって玉虫色の人事を取り決め、有権者や党内から強い批判を受けた。

上部へスクロール