欧州連合(EU)の欧州議会は3日の本会議で、2030年を達成期限とする自動車の新たな排出ガス規制案を賛成多数で可決した。EU域内で販売される乗用車と小型商用車(バン)の新車を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに21年の目標と比べて40%削減することをメーカーに義務づけることが柱。30%の削減を求めた欧州委員会の原案より厳しい内容で、業界団体からは反発の声が上がっている。今後、EU加盟国との交渉に入るが、自国に有力メーカーを抱えるドイツなどは規制の厳格化に難色を示しており、調整の難航が予想される。
EUは08年、15年までに乗用車と小型商用車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり平均130グラム以下とする規制を導入。14年には21年までに同95グラム以下に抑えることを義務づける規制案が採択され、各メーカーは同目標の達成を目指して電気自動車(EV)など環境対応車への移行を急いでいる。
欧州議会が採択した規制案は、新車のCO2排出量を30年までに21年比で40%削減するという内容。25年までに20%削減する中間目標も設定した。欧州委は昨年11月、30年までに30%(中間目標として25年までに15%)の削減を求める案を打ち出していたが、欧州議会は削減目標を引き上げる修正案を賛成389、反対239(棄権41)で可決した。
規制案は排出削減目標のほか、環境対応車の販売シェア目標も設定している。メーカーはEVや燃料電池車(FCV)などCO2をまったく排出しない「ゼロエミッション車」と、プラグインハイブリッド車(PHV)など低排出ガス車(走行1キロメートル当たり50グラム未満)の販売シェアを25年までに20%、30年までに35%に引き上げる必要がある。