欧州スタートアップの資金調達が過去最高に

設立10年以内の欧州のスタートアップ企業が今年上半期に投資家から調達した資金の総額は前年同期比27%増の101億9,600万ユーロとなり、上期の最高を更新した。投資家の出資意欲は高く、高額投資の傾向も加速。調達額が1億ユーロ以上に達した案件は前年同期の10件から12件へと拡大した。

資金調達の件数は前年同期を19%上回る1,995件となり、こちらも上期の最高を記録した。調達件数を国別でみると、最も多かったのは英国で23%増の514件を記録。これにフランス(11%増の333件)、ドイツ(3%増の273件)が続いた。上位10カ国のなかで伸び率が最も大きかったのはハンガリーで、前年同期の3件から約23倍の68件へと拡大した。スイスも75%増の124件と大幅に増えている。

資金調達額が最も多かった国も英国で、32%増の30億9,500万ユーロへと達した。これにドイツ(13%増の24億1,300万ユーロ)、フランス(61%増の19億5,200万ユーロ)が続いた。エストニアは前年同期の0ユーロから2億800万ユーロへと急拡大。スイスも1億4,000万ユーロから約3倍の4億1,500万ユーロへと伸びた。フィンランドとベルギーはそれぞれ2.7倍、2.6倍に拡大している。

資金調達件数が最も多かった都市はロンドンで、297件に上った。2位はパリ(197件)、3位はベルリン(123件)で、全体に占める3都市の割合は31%に上った。ベルリン以外のドイツの都市ではミュンヘンが35件で9位、ハンブルクが18件で15位に付けた。

ロンドン、ベルリン、パリは資金調達額でも他の都市を圧倒しており、それぞれ20億500万ユーロ、16億1,400万ユーロ、14億2,100万ユーロに達した。欧州のスタートアップ企業が調達した資金全体の49%を3都市で占めている計算だ。

資金調達額の伸びが最も大きかったのはエストニアの首都タリンで前年同期の0ユーロから2億800万ユーロへと拡大した。チューリヒ(6.2倍の1億6,000万ユーロ)、ケンブリッジ(4.4倍の1億6,300万ユーロ)、ダブリン(2.4倍の2億8,100万ユーロ)も増加幅が大きい。

資金調達額が最も大きかった企業は中古車販売ポータルの独アウト・アインツで、ソフトバンク系の巨大投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」から4億6,000万ユーロを獲得した。2位は英フィンテックのレボルト(2億700万ユーロ)、3位はオンライン家具販売の独ホーム24(1億7,200万ユーロ)だった。

ドイツ企業の資金調達額ランキングではアウト・アインツ、ホーム24に次いでフィンテックのN26(1億3,200万ユーロ)が3位に付けた。

EYのパートナーは、英国ではフィンテックが大規模な資金を調達するのに対し、ドイツでは電子商取引分野の企業が有力だとの見方を示した。

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