ドイツ連邦経済・輸出管理庁(BAFA)によると、連邦政府と自動車メーカーが共同で実施している電気駆動車(エレクトロモビリティ)を対象とした購入補助金制度は、2018年9月の申請が4,936件となり、同制度を開始した2016年7月初め以降で2番目の高水準となった。
2016年7月初めから2018年9月までの累計申請件数は8万274件。内訳は、純粋な電気自動車が4万9,733件、ラグインハイブリッド車は3万522件、燃料電池車は19件となっている。
この助成プログラムでは、ゼロエミッション車である純粋な電気自動車(BEV)と燃料電池車(FCEV)に4,000ユーロ、プラグインハイブリッド車(PHEV)に3,000ユーロを補助している。
■ 7月以降、ストリート・スクーターがけん引
独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、2018年7月以降、純粋な電気自動車の申請が急増している。独郵便・物流大手ドイツポストDHLグループの子会社で電動小型商用車を開発・生産するストリート・スクーターのモデル「ワーク」の申請が多いためで、7月以降は、純粋な電気自動車の申請の約半数をストリート・スクーターが占めている。
ストリート・スクーターの申請件数はこれまでに計6,644件となっており、メーカー別の順位では5位につけている。
■ 助成金の利用低調、累計申請は予算の24%
なお、ストリート・スクーターの申請がなければ、7月以降の申請件数も低迷していたと見られる。
同制度の期限は2019年6月30日まで(または、予算を使いきった時点で終了)だが、まだ予算の24%しか使われていない状況にある。
同制度では、12億ユーロの予算(連邦政府が6億ユーロ、同プログラムに参加する自動車メーカーが6億ユーロを負担)を確保しているが、政府予算の6億ユーロのうち、申請があったのは約1億4,530万ユーロにとどまっている。
利用が低調なのは、充電インフラや航続距離に対する懸念に加え、新モデルの市場投入がないことが一因と見られている。
助成対象となる純粋な電気自動車が最後に発売されたのは2017年春で、VW「eゴルフ」、スマートの「フォーツー」と「フォーフォー」の3モデルだった。ただ、これらのモデルは納期が最大1年と長い。助成の条件に、補助金の申請から新車登録までの期間が9カ月までと定められているため、申請待ちの人も多い。自動車メーカーが、現在市場投入されているモデルを上回る性能のモデルの発売計画を発表していることも、購入意欲を低下させている一因とみられている。