ギリシャのコジアス外相が辞任、マケドニア国名問題めぐる閣内対立で

ギリシャのチプラス首相は17日、コジアス外相が辞任したと発表した。マケドニアが国名を「北マケドニア」に変更する問題をめぐる閣内対立が理由。外相職はチプラス首相が兼任する。

マケドニアは1991年に旧ユーゴ連邦から独立した際、正式名称を「マケドニア共和国」とした。しかし、ギリシャが古代ギリシャの英雄アレキサンダー大王の出身地である同地の名前を全面に出した国名に反発。マケドニアのEU、NATO加盟にギリシャが拒否権を発動し続ける状態が続いていた。

しかし、両国政府は6月、マケドニアを「北マケドニア共和国」とすることで合意。両国議会の批准を経て、国名が変更されることになった。コジアス外相は同合意を推進した人物だった。

ギリシャ政府内では、連立政権に加わる右派政党「独立ギリシャ人」を率いるカメノス国防相が同合意を不満として、反対する姿勢を示している。コジアス外相は16日の閣議でカメノス国防相と衝突した際、チプラス首相が政権維持のため外相を支持しなかったことを不服として、辞意を表明。チプラス首相が受け入れた。

国名問題をめぐっては、マケドニアで変更の是非を問う国民投票が9月末に実施され、圧倒的多数が「北マケドニア」への変更を支持したが、投票率が50%を大きく割り込んだため不成立となり、今後は議会で決めることになっている。議会では与党が承認に必要な3分の2を割り込んでおり、変更が承認されるか厳しい情勢だ。

また、ギリシャはマケドニアが合意を批准してから議会で採決するが、カメノス国防相は採決にかけられれば独立ギリシャ人が連立から離脱すると警告している。世論調査で野党・新民主党にリードされているチプラス首相の急進左派連合(SYRIZA)は、来年の総選挙を前に連立を維持する必要があり、首相は同問題で厳しい対応を迫られている。

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