伊の19年予算案は「財政規律違反」、欧州委が初めて修正を要求

2018年10月29日発行 No.221号

欧州委員会は23日、イタリア政府が提出した2019年予算案がEUの財政規律に違反しているとして、修正を要求したことを明らかにした。EUが加盟国の予算案を拒否するのは、予算を欧州委が事前に審査する制度が導入されてから初めて。伊政府は3週間以内に修正案を提出することを求められる。

イタリアの政府債務はGDP比131%と、ユーロ圏でギリシャに次ぐ高水準にある。このため前政権は財政健全化を重要政策に掲げ、財政赤字を19年に国内総生産(GDP)比0.8%まで削減し、21年に黒字化するという目標を設定した。

しかし、6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「5つ星運動」と「同盟」の連立政権は、19年の財政赤字をGDP比2.4%とすることを決定。赤字幅はEUの財政規律で上限となっているGDP比3%を下回るものの、財政再建が後退することになった。

同予算案は退職年齢の引き下げ、貧困層への特別給付、自営業者の減税など「ばらまき政策」の色彩が濃く、欧州委は18日に財政規律に逸脱しているとして伊政府に警告していた。

伊政府は財政赤字削減の先送りについて、景気の回復が遅れていることが大きいと弁明。歳出拡大によって景気を刺激すれば税収が増え、将来的に累積債務を圧縮することができると主張している。しかし、欧州委は「イタリアが公然かつ意図的に(赤字削減の)約束を破った」(ドムブロフスキス副委員長)と批判。イタリアの財政健全化停滞で債務危機が生じれば、ユーロ圏の他の国も巻き込まれかねないとして、予算案を承認せず、見直しを求めた。

EUはギリシャに端を発した債務危機の再発を防止するため、ユーロ参加国の財政監視強化策として、13年から各国の予算案を欧州委が事前に審査する制度を導入している。これまで見直しを求められた例はなかった。

伊政府は修正に応じず、EUの財政規律に違反した場合、GDPの最大0.2%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。

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