電機大手の独シーメンスは21日、イラクの電力インフラ再建に向けた基本合意を同国電力省との間で締結したと発表した。競合の米ゼネラル・エレクトリック(GE)も同様の基本合意をイラクと結んでおり、最終的な受注獲得に向けた両社の争いは今後も続く見通しだ。
イラクは1980年の対イラン戦争以降、相次ぐ紛争や経済制裁、イスラムテロを受けてインフラが悪化している。経済再建にはインフラの整備が欠かせないことから、政府は巨額の投資を計画。シーメンスは今回、計11ギガワット(GW)の発電能力を設置するほか、必要な資金の調達や人材教育の面でも協力することで基本合意した。
シーメンスはドイツ政府の後押しを受けており、9月下旬にはジョー・ケーザー社長と独経済省のトーマス・バーライス政務次官がバグダッドを訪問し、ハイダル・アル・アバーディ首相と交渉した。この時点では受注競争でシーメンスが有利とみられていたが、GEはその後、巻き返し。米国政府はイラク政府に圧力をかけたとされる。
メディア報道によると、イラン電力再建事業の受注を両社のどちらかが全面獲得する可能性は低く、両社が分け合う公算が高いという。