政策金融機関のドイツ金融公庫(KfW)は16日、ドイツの中小企業(KMU)を対象とするM&A活動の調査レポートを発表した。それによると、中国資本によるM&Aは2016年まで増加傾向にあったものの、17年に減少。今年はさらに落ち込む見通しだ。
KfWは2005年から17年のM&A計1万3700件を分析した。対象としたのは年商5億ユーロ以下の独企業を標的とする案件で、外資がM&Aの主体となるものは全体の42%を占めた。ただ、外資の比率は13年以降、上昇傾向にあり、17年には51%を占めている。M&Aには合併、買収のほか、過半数未満の資本取得が含まれる。
05~17年に行われたM&Aの主体に占める中国資本の割合は平均2.2%にとどまり、英国(5%)、スイス(3.9%)、オランダ(3%)、フランス(2.7%)、オーストリア(2.3%)を下回った。時系列でみると、09年までは1%未満にとどまっていたが、10年に1.2%へと上昇。その後は中国のシェアが拡大していき、直近のピークである16年には5.9%へと達した。
17年にはこれが4.2%へと大きく落ち込んだ。背景には国家政策(中国製造2025)に基づいて将来性の高い業界の企業の「買い漁る」動きへの警戒がドイツで急速に高まったことがある。
独KMUを標的とする中国企業のM&Aは2010年まで、製造業に集中しており、その割合は80%に上った。特に機械は44%と大部分を占めた。11年以降はM&Aの対象業界が多様化。この傾向は中国製造2025が打ち出された15年に強まった。(下のグラフ参照)