独2大デパートの合併を独禁当局が承認、ネット通販の台頭を考慮

独連邦カルテル庁は9日、オーストリアの投資会社シグナとカナダの小売大手ハドソンズ・ベイ・カンパニー(HBC)が両社の独デパート子会社などを統合する計画を承認した。ドイツで全国的に店舗を展開するデパートは他にないものの、小売業の競争環境が厳しいことから、消費者にも取引事業者にもしわ寄せは出ないと判断した。

独デパートのカールシュタットなどを傘下に持つシグナと同ギャラリア・カウフホーフを傘下に持つHBCは9月、両デパートなどを新設の合弁会社に統合することで合意した。新会社の売上高は約50億ユーロ。シグナは資本50.01%を取得し経営権を握る。

新会社にシグナが持ち寄る企業の店舗数はカールシュタットが79、スポーツ用品販売のカールシュタット・スポーツが29店舗。HBC側はカウフホーフが98、都市型アウトレットのサックス・オフ・5THが6、ベルギーのデパートが16、オランダのデパートが15。このほかカールシュタットとカウフホーフのネット通販それぞれ1店も新会社の傘下に入る。

カールシュタットとカウフホーフはともに独主要都市に店舗を持ち、同じ都市に両社の店舗が併存するケースが多い。このためカルテル庁は合併を認めた場合に各地の小売市場にもたらす影響を計20の商品グループに分けて調査。特に両社のシェアが高いバッグ、下着、スポーツ・アウトドア用品、玩具、ホームテキスタイル、筆記具・事務用品の分野では踏み込んだ調査を実施した。

この結果、新会社の市場シェアが25%を超える地域、商品グループは少ないことが分かった。デパート業界がネット通販の急成長で圧迫されていることもあり、カルテル庁は合併を認めても小売価格が不当に吊り上げられる恐れはないと判断した。

取引先のメーカーなどとの関係についても、取引先は専門店やネット通販などデパート以外に十分な規模の販路を持っているとして、新会社の価格交渉力が不当に高まる心配はないと判断した。

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