日本電産が独に持ち株会社

日本電産がドイツに持ち株会社を設立する計画だ。同社は独企業を多数、買収していく考えのため、そうした企業を効率的に統括する持ち株会社が視野に入ってきた。永守重信会長が独経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにした。

同社は事業の拡大・強化に買収を積極活用することで有名。当初は米国企業の獲得に注力してきたが、近年は独・欧州企業の買収も数多く行っている。9月には小型精密減速機製造の独MSグレスナーを買収したと発表した。昨年も車載向け電子制御ユニット(ECU)のハード・ソフトウエアのシステム設計・開発を手がける独ドライブエクスパートと、コンプレッサー製造の独セコップを買収している。

日本電産は自動車、ロボット用モーターの将来性が高いとみて、同分野の事業を強化していく方針で、その一環としてドイツ企業のさらなる買収を検討している。永守会長は「メカニックと自動車技術でドイツは最強の国だ」と述べたうえで「ドイツと日本の技術の組み合わせは前方への真の飛躍を意味しうる」と強調した。

同会長はまた、電気自動車(EV)の市場シェアが2030年に3分の1以上、40年には3分の2以上に拡大し、「ハイブリッド車とディーゼル車は消滅する」との予想を示したうえで、EVで決定的に重要な部品は電池でなくモーターだと指摘した。モーターの消費電力が半減すれば、航続距離を2倍に伸ばすか電池サイズを半分にすることができるためだ。

自動車メーカーが自らエンジンを製造することにつては否定的な見方を示した。開発能力と規模の効果の面で日本電産などのエンジン専門メーカーに太刀打ちできないとみているため。

ロボットに関しては世界の使用台数が50年時点で300億台に達するとの予想を提示。ロボット1台に要するモーターは500〜600個に上るとして、ロボット用モーター市場の将来性は高いと指摘した。

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