電気通信大手のドイツテレコムは13日、「調達戦略を現在、見直している」ことを明らかにした。中国メーカーのネットワーク機器をめぐる「世界的な議論を深刻に受け止めている」ためと説明しており、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)と中興通訊(ZTE)の製品を締め出す可能性が出てきた。
中国の通信設備・端末メーカーに対しては製品に組み込んだ部品を通してスパイ活動を行っているとの批判がある。特に華為は非公開企業で事業活動に不透明な部分が多いことから中国政府・軍との関係が深いとみられており、オーストラリアとニュージーランドは次世代移動通信(5G)システムに同社製品を用いないことを決定。英通信大手BTは華為製品を5G通信網の主要部品に使用しないだけでなく、既存の基幹通信網からも取り除くことを今月上旬に明らかにした。日本の通信各社は華為とZTEの製品を通信インフラから排除するもようだ。
こうした動きの背景には両社製品を用いないよう米国政府が働きかけていることがある。
ドイツテレコムは華為の製品を通信インフラに多く用いている。これまでは華為製品にセキュリティ上の懸念はないとの見解を繰り返し表明。セキュリティ問題の統括責任者であるトーマス・チェルジヒ氏はメディアのインタビューで最近、ドイツテレコムが厳しいチェックを行っていることを指摘し、「我々に気づかれずにネットワーク部品が中国にデータを送信することはまずあり得ないことだ」と明言していた。
同社は態度をにわかに変えた理由を明らかにしていない。米政府から圧力があったかどうかは不明。
ドイツテレコムは4月、米移動通信子会社TモバイルUSをソフトバンクの米子会社スプリントと合併することで合意した。米政府がスパイ活動を疑う中国通信機器メーカーの製品を同社が今後も使い続けると、合併審査で不利に働くと判断した可能性は考えられる。華為の孟晩舟最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕され、米国に身柄を引き渡されたことも影響した可能性がある。