日立製作所は17日、スイス重電大手のABBから送配電事業を買収することで合意したと発表した。ABBのグローバルな当該事業と日立のデジタル技術を融合することで革新的な電力ソリューションを全世界的に提供していくほか、様々な分野をつなぐ電力プラットホームを構築することで、モビリティ、スマートシティ、生産設備・プラントなど電力以外の幅広い分野でもエネルギー効率活用に向けたソリューションを提供していく。
2020年上半期をめどにABBから分社化される送配電事業に80.1%を出資して子会社化する。買収金額は同社史上最大の7,040億円(64億ドル)。新会社発足から4年目以降に完全子会社化する予定だ。
ABB の送配電事業は、グリッドオートメーション、グリッドインテグレーション、ハイボルテージプロダクツ、トランスフォーマーの4 事業で構成され、いずれも世界トップレベルの地位を占める。特に再生可能エネルギーの利用増を背景に市場が拡大する高圧直流送電(HVDC)の分野では世界全体のプロジェクトの約半分に当たる120件を手がけている。製造・サービス拠点は約100カ所、販売拠点は約200カ所で、従業員数はおよそ3万6,000人に上る。17年12月期の売上高は前期比0.4%増の100億2,800万ドル、営業利益は3.6%増の8億7,500万ドルだった。
日立は送配電事業の強化に向けてABBと14年12月に戦略提携を締結。15年11月には日本国内向けHVDC事業の合弁会社で営業を開始していた。
ABBは物言う株主で有名なスウェーデンの投資会社セビアンから、収益力の低い送配電事業を分離するよう強く要求されていた。当初はこの要求を拒否していたものの、株価低迷から脱却できないことから、今回の取引に踏み切った。売却益は自社株買いなどを通して株主に全額還元する意向だ。