スイス電機大手ABBのウルリッヒ・シュピースホーファー最高経営責任者(CEO)はこのほど、独経済紙『ハンデルスブラット』(12月5日付)に掲載されたインタビュー記事の中で、同社の中国事業について語った。今後さらに中国事業への投資を強化していく方針を示したほか、中国政府が推し進める新シルクロード経済圏構想「一帯一路」はABBの今後の成長にとって極めて重要であるとの見解を示している。同CEOは、今年はこれまでに7回、中国を訪問しているという。
ABBは中国に現在、1万8,000人の従業員を抱えており、うち2,000人が研究開発に従事している。シュピースホーファーCEOは『ハンデルスブラット』紙のインタビュー取材の中で、中国は現在、ABBにとって世界で2番目の市場だが、今後3年以内には最大の市場になるとの見通しを示した。今後の成長に向けては、産業の自動化、電力供給、建物・都市・自動車の電動化に需要があると見込んでいる。また、中国は世界最大のロボット市場であり、中国における2017年のロボット販売は約13万8,000台で、世界全体の約3分の1に相当する、と説明した。
■中国事業を徹底して現地化
シュピースホーファーCEOはABBが中国事業で成功している理由として、徹底した事業の現地化を挙げている。ABBはすべてのバリューチェーンを現地化しており、中国ではABBは輸入企業ではない、と説明している。
中国における技術流出への懸念については、常に研究開発に注力し、技術力で主導的な地位を堅持し続ければ、引き続き強力な協力パートナーとしての立場を保持することができる、との見解を示している。
また、新しいシルクロード経済圏構想「一帯一路」については、ABBはすでに400の顧客と協力しており、中国の提携先と共同で約70カ国の280件を超えるプロジェクトに参加している、と説明した。
さらに、中国と米国の貿易摩擦問題に関しては、ABBの中国における現地化は90%を超えているが、例えば、高効率モーターや変圧器に韓国や日本の特殊鋼を使用しており、当該問題について情報収集している、とコメントした。