独家電販売大手セコノミー傘下のザトゥーンは5日、レジを利用せずにほぼすべての商品を購入できるサービスのパイロットプロジェクトをハンブルクのメンケベルク通り店で開始した。一部の廉価商品を対象としたレジなし決済プロジェクトで顧客の反応が良好だったことから、対象製品を大幅に拡大した。新プロジェクトの期間は2月末まで。
同社は3月、3カ月間限定のポップアップストア「ザトゥーン・エクスプレス」を墺インスブルックに開設し、レジなし決済の試験を実施した。取扱商品は900点で、低価格のものに限定していた。同様のプロジェクトは独南部のミュンヘンでも行った。
今回のプロジェクトではごく一部の例外を除いてすべての商品をレジなしで購入できる。利用者は英スタートアップ企業ミシペイが開発した専用アプリを店内でダウンロード。購入する商品のバーコードをスマホの写真で撮影するか、電子棚札にNFC機能付きのスマホを接触させて当該商品を画面に呼び出す。そのうえで買い物かごに商品を入れて、クレジットカードないしペイパルで決済する。その後さらに、レジなし決算専用の窓口に商品を持っていき、万引き防止機能を店員に解除させれば手続きは完了する。
今月半ばからはグーグルペイでも支払いができるようになる。アップルペイもドイツでのサービス開始後に利用が可能となる。
同社によると、レジの長い待ち時間に嫌気をさした顧客の購入取り止めに伴い欧州の小売店が失った売上高は過去1年間で計340億ユーロに達した。ドイツはこのうち67億ユーロを占める。ザトゥーンはレジなし決済を全面導入し、そうした売上喪失を回避する考えだ。