ドイツ銀がコメ銀との合併観測を否定

独最大手銀のドイツ銀行は1日の決算記者会見で、同行が独同業コメルツ銀行と合併するとの観測を否定した。ドイツ政府は両行の合併を強く促しているとされるものの、ドイツ銀のクリスティアン・ゼーヴィング頭取は「わが行には計画があり、それに取り組んでいる。それ以外について私は何も考えていない」と明言。少なくとも同頭取自身は合併を目指していないことを明らかにした。

ドイツ銀とコメ銀はリーマンショックに端を発する金融危機以降、業績が低迷。他国の金融機関に大きく水をあけられている。ドイツ銀はドイツ企業が国際展開するうえで必要不可欠の存在と目されていることから、政財界は同行の不振の長期化に危機感を抱いている。政府では特にオーラフ・ショルツ財務相が両行の合併に前向きとされる。

両行の合併観測は2016年にも浮上した。この時は頭取同士が協議したものの、最終的にはそれぞれが抱える課題の解決が重要だとの結論に達し、正式な合併協議は行わないことにしたという。

ドイツ銀が同日発表した2018年12月期決算の税引き後損益は3億4,100万ユーロの黒字となり、前期の赤字(7億3,500万ユーロ)から好転した。黒字計上は4期ぶり。前期は米国の法人税減税を受けて繰延税金資産(DTA)の評価額をおよそ14億ユーロ引き下げたことから赤字となった。

18年12月期の税引き前利益は13億3,000万ユーロとなり、前期比で8%増加した。リテール部門が78%増の8億2,900万ユーロと好調で全体をけん引。他の部門の不振が相殺された。かつての稼ぎ頭である投資銀行部門は52%減の5億3,000万ユーロと振るわず、資産運用部門も50%減の7億3,200万ユーロへと落ち込んだ。

法務費用は前期の2億1,300万ユーロから8,800万ユーロへと大きく減少した。過去の不正に伴う問題の解決が進んでおり、12月末時点の法務リスク引当金は前年同日の20億ユーロから12億ユーロへと40%低下した。貸倒引当金は横ばいの5億2,500万ユーロだった。12月末時点の狭義の中核自己資本比率は13.8%で、前期末の14.0%から0.2ポイント低下した。

18年12月期の調整済みベースのコストは前期比5%減の228億ユーロとなり、ゼーヴィング頭取が4月の就任時に掲げた目標(230億ユーロ以内)をクリアした。これを受けて19年12月期の目標を220億ユーロから218億ユーロへと修正。ハードルを高く設定した。

18年10-12月期(第4四半期)の税引き後損益は4億900万ユーロの赤字だった。赤字幅は前年同期の24億2,500万ユーロから縮小したものの、4四半期ぶりに赤字へと転落した。債券取引が振るわず投資銀行部門が赤字となったことが響いた。

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