米の車関税引き上げは独メーカーの負担に、VWで25億ユーロ

米国が自動車の輸入関税を引き上げると、独メーカーは大きな痛手を受ける見通しだ。最大手フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長は英『フィナンシャル・タイムズ』紙のインタビューで、同社には25億4,900万ユーロの追加コストが発生するとした投資コンサルティング大手エバーコアISIの試算について、「最悪の場合、それはおそらく現実に近い額だ」との見方を示した。

米トランプ大統領は昨年5月、輸入車に最大25%の追加関税を課す考えを示すとともに、自動車の輸入が安全保障上のリスクかどうかの調査を指示した。これを受けて商務省は調査を実施。大統領に先ごろ提出した答申書で、同輸入は安全保障上の脅威だとの判断を示した。

トランプ大統領は同答申を踏まえて車輸入関税を引き上げるかどうかを90日以内に決定する。墺セバスチャン・クルツ首相との20日の会談では「自動車関税を考えている」と述べる一方で、追加関税の回避につながる欧州連合(EU)との合意にも関心があることを示唆しており、追加関税をちらつかせながら通商交渉でEUから譲歩を引き出す考えとみられる。「取引(ディール)が成立しなければ、関税を導入する」と明言した。

米国が車関税を引き上げると、VW以外の自動車メーカーでも追加コストが発生する見通し。エバーコアISIはダイムラーで20億ユーロ、BMWで17億ユーロに上るとしている。

VWのディース社長はこの問題を欧州メーカーの今年最大の懸念材料だと指摘。英国のEU離脱よりも深刻だとの認識を示した。

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