製薬大手グリューネンタールがさらなる買収を視野に

独製薬大手のグリューネンタールが同業の買収や医薬品の権利取得を検討している。主力製品の特許切れを見据えたもので、ガブリエル・ベルチ社長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「売り上げに直結するさらなる取引のチャンスを常にうかがっている」と明言した。

同社は昨年、英同業アストラゼネカから医薬品の販売ライセンスを取得した。具体的には胃酸抑制薬「ネキシウム」を欧州33カ国で販売する権利と、鎮痛剤「ヴィモヴォ」の世界販売権を譲り受けた。取引金額は8億1,100万ユーロ。ネキシウムの同33カ国での売上高は2017年時点で2億2,000万ユーロ、ヴィモヴォの世界売上高は同7,000万ユーロだった。

グリューネンタールは鎮痛剤分野の有力企業。特許薬メーカーとしては事業規模が小さいことから、ニッチ分野に経営資源を絞り込んでおり、市場が大きい一般的な鎮痛剤分野には手を出していない。売上の3分の1を「ベルサティス」「パレグジア」の2製品が占める。

パレグジアは全世界での売上高が提携先による販売も含めて4億ユーロを超える。同社の売上高は昨年13億ユーロにとどまっており、同薬の特許が25年に失効すると、大幅な減収減益は避けられない見通しだ。

そうした事態を避けるために、新薬開発に取り組むとともに、買収候補を模索している。

同社は売り上げの約3分の2を欧州、約3分の1をラテンアメリカで獲得している。今後は進出先地域を増やして業績を拡大していく考えで、ベルチ社長はアジアの患者を対象に臨床試験を実施し同地での販売を実現することや、米国事業の強化方針を明らかにした。すでに昨秋には米同業のアヴェリタス・ファーマを買収。同国販売を提携先に頼らず自ら展開できるようになった。

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