自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は13日、主力のVWブランド乗用車で2023年までに年コストを59億ユーロ圧縮すると発表した。電動車・自動運転車などへの投資や排ガス規制の強化を受けてコストが膨らんでいるため。事務作業のデジタル化を通して人員削減も実施する。
同乗用車ブランドは2016年、収益力強化プログラム「トランスフォーム2025+」を打ち出した。ブランド・ポジショニングの明確化と事業効率・生産性の向上、電動車やモビリティーサービスの拡充を通して競争力を強化していく考えだ。
同プログラムの効果で利益率は上昇している。だが、将来の競争力を大きく左右する分野への投資額は膨らむ見通しで、VWブランド乗用車は今回、23年までの5年間にこれら分野に投じる額を従来計画の110億ユーロから190億ユーロへと大幅に引き上げた。
この資金をねん出するためにコストを大幅に削減する。具体的には◇材料費を圧縮する◇モデルバリエーションを減らす◇工場の生産性を年5%引き上げる◇販売部門の利益と利益率を引き上げる◇事務部門のコストと従業員を削減する――意向だ。
事務作業のデジタル化に向けてはITシステムに総額46億を投資する。これによりルーティンワークを自動化。従業員5,000~7,000人を削減する。経営上の理由による整理解雇は行わず、高齢社員の退職を通して実現する。
同乗用車ブランドの18年12月期の売上高営業利益率は3.8%となり、目標の4%をやや下回った。欧州連合(EU)で新たに導入された排ガス検査方式への対応がうまくいなかったことで5億ユーロのコストが発生。旧型ディーゼル車の買い替え促進プログラムも約3億6,000万ユーロの利益圧迫要因となった。売上高は約7%増の846億ユーロ、営業利益(特別要因を除く)は32億ユーロだった。
19年12月期は売上高で最大5%増、売上高営業利益率で4~5%を目指す。
VWは今回、電気自動車(EV)専用シャーシ「MEB」を採用した同乗用車ブランドの車両を今後10年間で1,000万台以上、生産する計画も明らかにした。