自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は商用車事業を統括する子会社トレイトン・グループの新規株式公開(IPO)を先送りする。市場環境が悪化しているためで、VWのフランク・ヴィットナー取締役(財務担当)は13日、「取締役会は引き続き、より良い市場環境下での上場を目指す」と述べた。
VWは当初、トレイトンのIPOをイースター休暇(4月19~22日)前に実施する意向だった。ヴィットナー取締役は今月上旬時点でも、トレイトンのIPOはドイツで計画されている他社の上場を先導する「砕氷船」の役割を果たすと述べ、意欲を示していた。だが、米国と中国の通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱を背景に株式市場の不透明感が強まっていることから、計画を変更した。
VWは昨年4月、計12あるグループブランドを大衆車、高級車、超高級車、商用車の4部門に再編したうえで、乗用車事業との関連が薄い商用車部門を有限会社から株式会社へと改め、事業の拡大や強化に向けた資金を調達しやすくする方針を打ち出した。これを受けて商用車部門の社名を第3四半期に、フォルクスワーゲン・トラック・アンド・バス(VWTB)からトレイトン・グループへと変更した。IPOでは株式を最大25%公開し、市場資金60億ユーロを調達する考えだ。