独での電池セル生産、6企業連合が補助金に関心

ドイツ国内で車載電池セルを生産する企業に政府が交付する意向の補助金に計6つの企業連合が関心を示している。経済紙『ハンデルスブラット』が報じ、連邦経済省が追認した。自動車大手の独BMWとフォルクスワーゲン(VW)、独オペルを傘下に持つ仏PSA、化学大手のBASF、ドイツポストの電気自動車(EV)子会社ストリートスクーター、スウェーデンの電池スタートアップ企業ノースボルトは申請する意向だ。

政府は車載電池セル工場の国内建設を支援するため、2021年までに総額10億ユーロの補助金を提供する考え。申請期限は当初、昨年末となっていたが、申し込み件数が少ないことから3月15日へと延長された。

車載電池セルの分野では日韓中メーカーの競争力が高く、欧州の自動車メーカーはこれらの国の企業から調達している。だが、電動車の価値の約40%を占める電池分野で欧州域外のメーカーに全面依存することは産業政策上好ましくないと政府はみており、セル生産の欧州コンソーシアムを資金面で支援する意向だ。フランス政府も総額7億ユーロの補助金を計画している。

補助金を交付するためには欧州連合(EU)の欧州委員会から承認を得る必要がある。承認の条件として◇欧州全体の利益に合致する重要なプロジェクトである◇画期的な技術である――の2条件を満たしていなければならず、両国政府のセル工場助成計画が認められるかは定かでない。

BMWはこれまで、セルの内製化を行わない意向を示してきた。競争力の高いアジア勢から低コストで調達するのがベストと判断したためで、昨年には中国の車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)からの調達で合意。CATLは独中部のエアフルトに年産能力14ギガワット時(GWh)の巨大工場を建設することを決めた。BMWがセルの国内生産に乗り出すと、同社は外部調達のほか、内製も行うことになる。

一方、VWは12日、LG化学、SKI、CATL、サムスンの中韓4社からセルを調達するとともに、欧州企業がコンソーシアムを結成してセルの欧州生産に乗り出す場合は、VWが参加することも検討することを明らかにした。EVの生産を今後、大幅に増やす計画のため、それに必要なセルを確実に確保しておきたいという思惑がある。

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