フィアットが排ガス不正めぐり米当局と和解、8億ドル支払いへ

欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は10日、排ガス不正をめぐる米国での訴訟で、制裁金や賠償金など合計8億ドルを支払うことで米当局や司法省などと合意したと発表した。

FCAは2015年に排ガス不正が発覚した独フォルクスワーゲン(VW)と同様、一部のディーゼル車に検査時だけ窒素酸化物(NOx)などの排ガス低減機能を稼働させる「ディフィート・デバイス(無効化装置)」と呼ばれる違法ソフトを搭載し、規制を逃れていたとして、17年に米環境保護局(EPA)や司法省から提訴されていた。

和解合意に基づき、FCAは司法省やカリフォルニア州などの関係当局に制裁金として計4億ドルを支払う。「ジープ・グランドチェロキー」など対象となる車両およそ10万台の所有者には1台あたり平均2,800ドルを支払うほか、リコールを通じて排ガス関連ソフトを無償で提供する。さらに和解の一環として、FCAにエンジン制御ソフトを供給していた自動車部品最大手の独ボッシュも賠償金2,750万ドルを支払うことで合意した。

ただ、FCAが不正を認めることは和解条件に盛り込まれなかった。同社は声明で「和解に応じるものの、排ガス試験をクリアするための意図的な不正には関与していなかったという当社の立場に変わりはない」と表明している。なお、今回の費用は18年7~9月期決算に計上しており、新たな業績への影響はないという。

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