独自動車大手のBMWは、3月29日に予定する英国の欧州連合(EU)離脱の対応策として、傘下の小型車ブランドMINIのエンジン生産を英国工場からオーストリアに移管する方向で検討しているもようだ。BMWのペーター・シュヴァルツェンバウアー取締役(MINI/ロールス・ロイス/BMWモトラッド(二輪)/BMWグループの顧客体験・デジタルビジネスイノベーション担当)が英ニュース専門局『スカイニュース』に明らかにした。ただ、まだ最終決定はしていない、と説明した。
BMWは昨年9月、EUと英国政府のEU離脱交渉が不調に終わり、最悪のシナリオである「合意なき離脱」となった場合を想定し、英国のオクスフォード工場の生産を4月1日から約1カ月、休止する計画を明らかにした。英国外からの部品調達に問題が発生し、同工場で生産しているMINIの部品が不足する恐れがあるためで、毎年の工場メンテナンス作業を4月に前倒しで実施する。
ただ、「合意なき離脱」の可能性が高まる中、英国政府は混乱を避けるため、EUに離脱時期の延期を要請する動議を議会下院に提出し、議会は14日夕刻、動議を賛成多数で可決した。BMWにとっては、工場の休止期間の延期は難しく、離脱が延期となった場合、大きな影響が発生すると見られている。独『ウェルト』紙によると、BMWのハラルド・クリューガー社長はジュネーブモーターショーに出席した際に、離脱時期が延期となった場合も、生産休止の計画は実行する意向を示している。
クリューガー社長によると、BMWは工場の休止に加え、船舶やトラックでの部品輸送に問題が発生した場合に備え、航空輸送機を借りるオプション契約を締結しており、空路での輸送能力を確保している。EUの離脱時期が延期された場合、輸送機の予約は延期することができるが、料金が発生するため、コスト負担は増えると説明している。