Prometheus

表面加工技術によるエンジン部品の摩擦低減により、内燃エンジンの燃費改善および二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指すドイツの共同研究プロジェクト。

連邦経済省が支援しており、フラウンホーファー材料・ビーム技術研究所(IWS)や部品メーカーなど、産学から12社・機関が参加している。研究成果は、乗用車、トラック、バス、建機など、さまざまな内燃機関の燃費改善とCO2排出量の削減に生かしていく。

内燃エンジンでは、例えば、ピストンとシリンダーの摩擦熱が大きいほど、燃費は悪化し、CO2 排出量も増える。

今回のプロジェクトでは、ダイヤモンドと黒鉛との中間的な物性を持つ硬質炭素膜「ダイヤモンドライクカーボン」の改良、グラファイトのプラズマ処理、レーザーによる表面構造の形成により、材料の表面を滑らかにする技術を研究する。

IWSのフォルカー・ヴァイナハト博士はさらに、理想的な潤滑剤や表面構造、コーティング剤は存在しないため、さまざまなエンジン部品の組み合わせにおいて、潤滑剤、表面構造、コーティング剤を最適に調整することが重要になる、と指摘する。

プロジェクトの実施期間は3年で、2019年初めにスタートした。プロジェクトの終了までに低摩擦のエンジン部品のプロトタイプを開発する計画。研究成果は、様々な用途に使用する内燃エンジンに生かしていく。また、研究を通して得られた知見は、転がり軸受(ローリング・ベアリング)やすべり軸受(プレーンベアリング)など、さまざまな分野に活用できると見込んでいる。

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