オランダがナイキに不当な税優遇か、欧州委が本格調査開始

欧州委員会は10日、オランダ政府がスポーツ用品大手の米ナイキに不当な税制優遇措置を適用し、EUの公的支援に関するルールに違反した恐れがあるとして、本格的な調査を開始したと発表した。

欧州委が問題視しているのは、ナイキがオランダで展開する事業会社のナイキ・ヨーロピアン・オペレーション・ネーデルランドとコンバース・ネーデルランドに対する税制措置。両社は「ナイキ」「コンバース」ブランドの欧州、中東、アフリカでの販売促進活動などを行っている。

欧州委によると、これら2社はオランダにあるナイキの他の関連会社にブランドの知的財産権使用料(ロイヤルティー)を支払っていた。ロイヤルティーは税控除対象となるため、同関連会社はオランダで納税する必要がなく、さらにナイキ・ヨーロピアン・オペレーション・ネーデルランドとコンバース・ネーデルランドは課税対象となる所得が減るため、課税を抑えることができる。

これについて欧州委は、問題の関連会社は実体がないのに、ロイヤルティーを受け取り、しかも同料金が過大に設定されていたと判断。オランダ政府が2006年から15年にかけて、この料金設定を認めることでナイキの課税所得が減ったのは、不当な優遇措置に当たる恐れがあるとして、本格的な調査を進めることを決めた。

EUは2013年から、域内で活動する多国籍企業の課税逃れに対する取り締まりを強化している。オランダでは米スターバックスに対する税優遇がEUのルールに違反していると認定し、政府が追徴課税を命じられた。さらに家具大手イケア(スウェーデン)にも同様の問題が浮上し、欧州委が調査を行っている。

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