独フォルクスワーゲン(VW)は15日、世界的に需要拡大が見込まれる中型ピックアップと小型商用車の開発・生産で米フォードと提携することで合意したと発表した。昨年6月に締結した戦略協業合意の第一弾で、技術革新力、競争力、収益力を強化する。両社は今回、電動車、自動運転車、移動サービス分野での提携を検討することでも基本合意した。
フォードは両社の中型ピックアップを開発・生産する。これらのモデルは2022年からグローバル市場で販売される。フォードはまた、両社が欧州市場で販売するトランスポーターの開発と生産も引き受ける。VWは両社のシティバンを手がけることになる。開発・生産の共同化により、規模の効果や生産効率の向上を実現できることから、VWとフォードは23年以降、利益が押し上げられるとみている。
自動車業界では車両の電動・IoT・自動運転化に向けて巨額の投資が必要となっている。これを各社が単独で負担することはできないことから、協業を通したコスト削減の動きが活発化している。共同開発には新技術の投入加速というメリットもある。
一方、VWは14日、米テネシー州チャタヌーガ工場で電気自動車(EV)を生産する計画を発表した。電動車の販売を世界的に急拡大していく戦略に基づくもの。ドイツ車の輸入関税を米国が引き上げることを回避する狙いもある。
チャタヌーガ工場に約7億ユーロ(8億ドル)を投じて、EV用プラットホーム「MEB」をベースとする車両の生産を2022年から開始する。まずSUV車「ID.クロス」を生産。その後にマイクロバスも生産する。新規雇用は最大1,000人を見込む。