欧州委、伊の債務増大を問題視

欧州委員会は2月27日に発表したEU加盟国の経済、財政状況に関する報告書で、イタリアは経済の不均衡が深刻だとする見解を示した。とくに債務の増大を問題視しており、政府に改善を求めた。

報告書はイタリアが巨額の公的債務を抱え、銀行の不良債権や失業率が依然として高水準にあることなどに触れ、「過大な不均衡に直面している」と指摘。同国が景気後退入りし、しかも政府の財政健全化に向けた取り組みが鈍いことから、累積債務が国内総生産(GDP)に占める割合が「今後数年間は低下する見込みがない」として、財政改善の必要性を強調した。

イタリアの累積債務はEUでギリシャに次ぐ高水準。GDP比で約130%に達し、EUの財政規律で上限となっている60%を大きく超えている。2018年には6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と「同盟」の連立政権がまとめた19年予算案が欧州委から“ばらまき”政策と批判され、財政規律違反で初の制裁を発動される瀬戸際まで追い込まれた経緯がある。

同国は18年10~12月期まで2四半期連続でマイナス成長となり、景気後退局面に入った。政府は19年のGDP成長率を1.2%と予測しているが、欧州委の最新予測では0.2%と大きな開きがある。このため、欧州委は債務がさらに拡大すると懸念している。

欧州委は財政健全化について、景気悪化で税収減が確実な中で、赤字改善の柱となる国営企業の民営化が停滞していると指摘。これらを含めた中期的な債務圧縮計画が必要として、政府に4月までに改革プログラムを提出するよう指示した。同プログラムを検証した上で、対応が不十分と判断すれば、是正手続きに着手する方針だ。

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