投資会社に対する規制案で基本合意、事業規模などに応じて異なるルール適用

欧州議会とEU加盟国は2月26日、投資会社の健全性維持を目的とする規制案の内容で基本合意した。EU域内で活動する投資会社を事業規模や業務内容に応じて分類し、銀行と同様のサービスを提供する規模の大きな投資会社に対しては金融機関と同じ厳格な資本要件を適用する一方、中小の投資会社に対しては簡素化された要件を適用することが柱。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールを導入する。

EU市場ではおよそ6,000の投資会社が事業展開しているが、ごく少数の大手が運用資産の大部分を占めている。現在は銀行の自己資本比率に関する新たな国際基準「バーゼルⅢ」の導入に向けて2013年に採択された資本要件に関する規則および第4次指令(CRR/CRD Ⅳ)に基づき、域内で活動する全ての投資会社に一律の規制と監督制度が適用されている。欧州委員会は17年12月、投資サービス市場で公正な競争を促すため、銀行と同様の業務を手がける大手投資会社に大手銀行と同じ規制を適用し、監督体制を強化する一方、金融システムの安定を脅かすリスクの小さい中小の投資会社に対しては緩やかな規制を適用することを提案した。

欧州議会と加盟国が基本合意した規制案によると、自己資金での資産運用や引受業務など銀行と同様のサービスを手がけ、運用資産が150億ユーロを超える投資会社は自動的に既存の自己資本規制(CRR/CRD Ⅳ)の対象となり、銀行と同じ自己資本比率、レバレッジ比率、流動性カバレッジ比率の要件を満たす必要がある。運用資産が50~150億ユーロの投資会社については金融安定リスクを考慮して、監督機関の判断で銀行と同じ自己資本規制を適用することができる。これ以外の投資会社にはそれぞれのリスクを考慮したうえで、簡素化された比較的緩やかな規制が適用される。

一方、EU内で活動する第3国の投資会社については同等性評価制度を強化し、適用されている資本要件がEUと同等かどうかを欧州委が判断する。金融システムに影響を及ぼすと考えられる域外の大手投資会社に関しては、同等性評価に際して特定の条件を加味することができる。

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