産業ロボット・自動化機器大手の独クーカ(アウグスブルク)は10日、業績改善策を発表した。2018年の売上・利益が振るわないうえ、20年目標も達成できない見通しとなっているためで、事業の効率化や研究開発の絞り込みを行う考えだ。
同社は昨年、業績がすぐれず、18年の売上高と売上高営業利益率目標を10月にそれぞれ約33億ユーロ、約4.5%へと下方修正した。だが、その後、市場環境が一段と悪化したこともあり、今回これを約32億ユーロ、約3.0%へとさらに引き下げた。
業績予測を再び下方修正したのは、景気の冷え込みの影響が同社売上のおよそ半分を占める自動車・電機業界を直撃しているためだ。産業ロボットの最大市場である中国の減速も響いている。
クーカはこうした事情を踏まえ、20年までに売上高を40億~45億ユーロ、売上高営業利益率を7.5%超へと引き上げるとした従来目標を撤回した。
今後の事業効率の改善に向けては管理、調達、販売などの間接部門で人員削減を実施。21年までにコストを3億ユーロ以上、圧縮する。
研究開発ではモバイルロボット、協働ロボット、つながる工場(インダストリー4.0)分野を強化する。売上高の約5%を研究開発に充てるというこれまでの方針は堅持する。
アジア市場に適したロボットの拡充も計画しており、これを実現するために中国での生産能力を拡大する。これまでの機種よりも小型で単純な製品を供給していく考えだ。
顧客のニーズにきめ細かく対応するために組織の分散化も進める。IT、人事、財務、マーケティングなどの分野では本社が統轄するこれまでの方式を継続する。