定年退職後の有期雇用はEU法に合致

年金受給開始年齢(定年)に達した被用者であっても、定年前に労使が合意すれば退職時期を何度でも延長できる。これは社会法典(SGB)第6編41条第3文に記されたルールである。このルールを巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年12月に判決(訴訟番号:7 AZR 70/17)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はニーダーザクセン州立の職業学校の教師が雇用主の同州を相手取って起こしたもの。原告は1949年生まれで、労働契約では15年1月末に定年することになっていた。定年直前の15年1月20日、原告は雇用期間を7月末までの半年間、延長する契約を被告と締結した。

原告はその後、定年後の雇用を有期契約とすることを認めたSGB第6編41条第3文の規定は欧州連合(EU)法違反だなどと主張。原告の雇用を7月末で打ち切ることは不当だとして、契約期限の撤回(契約の無期限化)を求めて提訴した。

一審と二審は原告敗訴を言い渡し、最終審のBAGも同様の判断を示した。判決理由でBAGの裁判官は、SGB第6編41条第3文の規定はドイツの憲法である基本法にも、EU法にも抵触しないとの判断を示した。EU法に抵触しないとの判断の根拠として、同様の係争でEU司法裁判所(ECJ)が18年2月に下した判決(C-46/17)を示した。

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