米Evelozcity、経営陣を強化・21年にEV発売へ

独自動車大手BMW出身のウルリッヒ・クランツ氏とステファン・クラウゼ氏が米国で立ち上げた電気自動車(EV)の新興企業Evelozcityの経営計画が具体化してきた。同社はこのほど、社名を「カヌー(Canoo)」に変更し、経営幹部に新たな人材を迎えるほか、2021年に同社初のEVを発売する計画を発表した。

ウルリッヒ・クランツ氏は、BMW初の電気自動車「i3」の開発やサブブランド「BMW i」の立ち上げなどを実施した「プロジェクトi」の責任者を務めていた。ステファン・クラウゼ氏は、BMWの財務担当取締役やドイツ銀行の最高財務責任者(CFO)を務めた経歴を持つ。両氏は米国のEVベンチャーであるファラデー・フューチャーに勤めていたが、独立し、2017年12月に米ロサンゼルスで起業した。2018年4月には独自動車大手オペルの元社長であるカールトーマス・ノイマン氏がEvelozcityに加わった。

■ カヌー、シティーカー4モデルの発売を計画

Evelozcityはこのほど、社名を「カヌー(Canoo)」に変更したと発表し、シティーカー4モデルを発売する計画も明らかにした。ライフスタイル車両、通勤車両、最寄りの集配センターから最終的な配達先までの最後の配達区間(ラストワンマイル)に使用するラストワンマイル用の輸送車、ライドヘイリング用車両の4モデルで、このうち最初のEVを2021年に米国市場に投入する計画。

■ 新しいデザインを採用

カヌーは、自動車の所有に伴う登録や保険など煩雑な手続きを省くため、利用に応じて料金を支払うサブスクリプションパッケージに利用を限定する計画。

車両デザインも従来の自動車とは大きく異なり、フラットなEVプラットフォームやシンプルなデザインを採用して、車内空間を大きくする。例えば、ライフスタイル車両では、外観はコンパクトカーの大きさだが、大型SUVと同等の車内空間を確保するという。

■ 経営陣を拡充

カヌーの従業員数は現在、350人。新たな経営陣として、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスに勤務していたオリバー・ベリン氏を最高執行責任者(COO)として迎えるほか、BMWの米国工場(BMWマニュファクチャリング)の元社長であるクレメンス・シュミッツ・ユステン氏が生産の責任者となる。カヌーは、車両を米国と中国で委託生産する計画で、ユステン氏はカヌーの委託生産戦略を統括する。

メディア報道では、生産委託先の候補として、フィンランドのヴァルメットやカナダの自動車部品大手マグナの子会社であるオーストリアのマグナシュタイヤーの名が挙がっており、マグナシュタイヤーが米国に工場を建設するとの報道もある。

さらに、4月半ばには、米配車サービス大手ウーバー出身のジェームス・コックス氏がデジタル分野の責任者としてカングーに参画するもよう。

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