独研究所、トラック用タイヤの合成ゴムを開発

ドイツのフラウンホーファー研究機構では、トラック用タイヤのバイオミメティック(生物模倣)合成ゴム「BISYKA」を開発している。ゴムの木に比べ生育が早いタンポポを原料にしたゴムの構成物質を研究して摩耗に強い合成ゴムを開発した。このほど実施した初めてのタイヤ走行試験では、天然ゴムを使用したタイヤよりも摩耗が30%少なかったうえ、溝の減り具合も半分にとどまる好結果が得られた。研究チームは今後さらに改良を重ねるとともに、製品化に向けて提携先も探していく。

天然ゴムは、合成ゴムのタイヤに比べ摩耗が少ない利点がある一方、原材料を安定して確保できない懸念があった。ゴムの原産地であるブラジルでは子嚢菌(Microcyclus ulei)による病気のためプランテーションが壊滅した。現在、ゴムの主要産地であるアジア圏にもこの菌が広がればゴムの確保が世界的に難しくなる。

フラウンホーファー研究機構では傘下の応用ポリマー研究所(IAP)、材料・システム微細構造研究所(IMWS)、分子生物学・応用生態学研究所(IME)、材料メカニズム研究所(IWM)、ケイ酸塩研究所(ISC)が「BISYKA」の開発に参加している。

ゴムの木は生育に7年かかる一方、タンポポは3カ月と早いため、フラウンホーファーの研究者は、タンポポを原料にしたゴムを研究し、摩耗の特性に重要な物質を特定した。

走行試験では、自動車にタイヤを装着し、周回走行を700回、逆方向へも700回を実施した。この結果、天然ゴムのタイヤでは摩耗により重量が850グラム減り、タイヤの溝は0.94ミリメートル減っていた。これに対し、BISYKAでは重量の減りは600グラム、溝の減りは0.47ミリメートルと半分にとどまった。フラウンホーファー研究機構によると、BISYKAは既存の産業設備を使用して量産することができる。

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