英製薬大手アストラゼネカと第一三共は3月29日、抗がん剤の開発・販売で提携したと発表した。第一三共が開発中の抗がん剤「トラスツズマブ・デルクステカン」が対象。第一三共は最大69億ドルの対価を受け取る。
トラスツズマブ・デルクステカンは抗体医薬と薬物(低分子医薬)を結合させ、薬物をがん細胞に直接届けることでがん細胞への攻撃力を強める抗体薬物複合体(ADC)。乳がん、胃がん、大腸がんなどへの効用が期待される。米国などで臨床試験が行われている。第一三共はがん領域の世界展開で豊富な経験とノウハウを持つアストラゼネカと組むことで新薬の開発・商業化を加速し、世界での販売を拡大したい考えだ。
第一三共はアストラゼネカから契約一時金として13億5,000万ドルを受け取る。さらに開発の進捗、販売状況に応じて最大55億5,000万ドルが支払われる。
同新薬の利益と開発・販売コストは両社が折半する。販売収益については第一三共が日本、米国、欧州などの収益を得る。中国、豪州、カナダ、ロシアなどでの収益はアストラゼネカが計上する。