企業秘密保護法案を可決、内部告発者保護ルールを原案より強化

ドイツ連邦議会(下院)は21日、企業秘密の保護ルールを定めた法案を一部修正のうえで可決した。内部告発者の保護規定が政府原案よりも強化されており、独ジャーナリスト連盟(DJV)は歓迎の意を示した。

同法案は欧州連合(EU)の営業秘密保護指令(2016/943)を国内法に転換するもので、営業上の秘密の不正な利用などから企業を守るとともに、内部告発者を保護することを柱としている。

同法案が施行されると、企業は自社の秘密が不正に取得、利用、公開された場合、それらの行為の差し止めと損害賠償の支払いを請求できるようになる。また、裁判審理で企業秘密が取り扱われる場合は、係争対象となっている情報を「要秘密」扱いとすることで、秘密が記された文書を閲覧したり、秘密内容が取り扱われる審理に参加できる者を制限することができるようになる。カタリーナ・バーリー法相は「経済はアイデアとイノベーションを糧にしている」と発言。競争力の源泉となる技術などの重要情報が同法案によって保護されることの意義を強調した。

法案には企業秘密を隠れ蓑に不正が行われるのを防ぐために、内部告発者とジャーナリストを保護するための規定も盛り込まれた。ただ、政府原案では企業の告発記事などを書いたジャーナリストが提訴された場合、情報提供者を法廷で明らかにしなければならなくなる可能性を排除できなかったことから、報道関係者が批判。連邦議会はジャーナリストをそうした義務から免除する規定を盛り込んだ修正案を可決した。

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