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2019/4/3

総合 - ドイツ経済ニュース

LNGターミナルの建設促進へ、政府が政令案了承

この記事の要約

ドイツ政府は3月27日の閣議で、液化天然ガス(LNG)ターミナルの建設を促進するための政令案を了承した。電力供給が不安定な再生可能エネルギーの利用拡大を受けて今後、天然ガス発電を強化するためにはLNGターミナルを整備する […]

ドイツ政府は3月27日の閣議で、液化天然ガス(LNG)ターミナルの建設を促進するための政令案を了承した。電力供給が不安定な再生可能エネルギーの利用拡大を受けて今後、天然ガス発電を強化するためにはLNGターミナルを整備することが必要と判断しているため。同政令案は州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)の承認を経て施行される。

ドイツは現在、主にロシアと北海産の天然ガスをパイプラインで輸入している。このうちロシア産は地政学的なリスクが大きく、ポーランドなど東欧の欧州連合(EU)加盟国や米国から批判が出ている。北海産も将来的に産出量の減少が見込まれる。

風力や太陽光などを利用する再生エネでは発電量が天候に大きく左右される。このため再生エネの発電量が少ないときには火力・原子力という在来型の発電を利用しなければならない。ドイツは原発を2022年、二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭発電も38年までに全廃する方針であることから、再生エネの拡充を補完する電源として天然ガス発電の利用が今後、増える見通し。政府はこれを踏まえ、必要な量の天然ガスを確保できるようにする枠組み整備の一環として今回の政令案を作成した。

ドイツにはこれまで、LNGターミナルが存在しなかった。パイプラインで輸入する天然ガスに比べ価格が高いほか、ターミナルとパイプラインを結ぶ施設の建設・運用コストをターミナルの運営事業者が負担しなければならないというルールがネックとなっているためだ。今回の政令案には同コストをパイプラインの運営事業者が負担するルールへの変更が盛り込まれていることから、施行されるとターミナルを建設しやすくなる。

パイプラインの運営事業者はターミナルとパイプラインを結ぶ施設の建設・運用コストをガス料金に上乗せして最終消費者に転嫁できることから、同政令案が施行されても新たな負担を負わずにすむ。政府の試算によると、最終消費者の負担額は小さく、1キロワット時当たり0.01セント未満にとどまる。

ドイツでは現在、北部のヴィルヘルムスハーフェン、ブルンスビュッテル、シュターデの3カ所でLNGターミナルの建設が計画されている。このうちヴィルヘルムスハーフェンとブルンスビュッテルのプロジェクトは今回の政令案が施行されると、実現すると目されている。ヴィルヘルムスハーフェンにはエネルギー大手の独ユニパーと商船三井が浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を設置し、22年下半期から操業を開始する見通しだ。

政府がLNGターミナルの建設促進へと舵を切った背景には、シェールガスの開発を積極的に進める米国が欧州へのLNG輸出に向けて外交圧力をかけているという事情もある。EUのユンケル欧州委員長は昨年7月、米国産LNGの輸入を増やすことで米トランプ大統領と合意した。