無給の特別休暇を取得した社員に雇用主は年次有給休暇をフルに与えなければならないのだろうか。それとも無給休暇の期間に応じて有給休暇の期間を短縮したり不付与とすることができるのだろうか。この問題を巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が3月に判決(訴訟番号:9 AZR 315/17)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は無給休暇を取得した被用者が雇用主を相手取って起こしたもの。同被用者は2013年9月1日から14年8月末まで無給休暇を取得することを申請し、認められた。同休暇の期間はその後、15年8月末まで延長された。計2年間の無給休暇を取得したわけである。
原告は同休暇の終了後、2014年の年次有給休暇、計20日分が未消化のままになっているとして、その取得を申請したところ拒否されたため提訴した。
原告は一審で敗訴したものの、2審で勝訴。最終審のBAGでは逆転敗訴した。判決理由でBAGの裁判官は、有給休暇の日数は週の勤務日数によって異なることを定めた有給休暇法(BUrlG)3条1項の規定を指摘。被用者が無給休暇を取得した結果、当該年度に部分的ないし全面的に勤務をしなかった場合は、それに応じて有給休暇を削減できるとの判断を示した。原告は14年に全く勤務していないことから、同年の年次有給休暇を取得する権利はないと言い渡したわけである。