ドイツ連邦統計局によると、同国で昨年、鉄道・路線バスを利用した乗客は前年比0.6%増の延べ115億7,200万人となり、過去最高を更新した。長距離鉄道の利用者が大きく伸びて全体をけん引した格好。近距離交通は輸送能力の関係で増加の余地が小さく、小幅増にとどまった。
長距離交通の利用者は4.0%増の1億7,200万人に拡大した。鉄道路線の拡張と割安な特別切符投入の効果で長距離鉄道が4.4%増の1億4,900万人を記録。長距離路線バスは1.2%増の2,310万人だった。
近距離交通は114億100万人で、0.5%の増加だった。路面電車が1.7%増の41億1,700万人、近距離鉄道が1.4%増の27億2,400万人へと拡大。近距離路線バスは0.7%減の52億8,500万人へと後退した。
比較可能な統計が始まった2004年に比べると、鉄道・路線バスの利用者数は14.5%増加した。伸び率が最も大きいのは近距離鉄道で39.3%を記録。これに路面電車が22.4%で続いた。近距離バスは0.5%増とごくわずかな伸びにとどまった。
独交通事業者連盟(VDA)によると、近距離交通の80%は大都市が占めている。渋滞時は自動車よりも路面電車や地下鉄を利用した方が目的地までの所要時間が短いことから通勤に公共交通機関を利用する人が増加しており、輸送能力は多くの都市で限界に到達。これを受けて、自動車通勤者が再び増加に転じると、交通部門の二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに1990年比で最低40%削減するという政府目標の達成が難しくなる。VDAはこれを踏まえ、近距離交通網の拡充・近代化支援を強化するよう国に促している。