ドイツ連邦経済省は31日、電動車の購入者を対象とする補助金の支給期間を延長すると発表した。当初は6月末の終了を予定していたが、電動車の需要が想定を大幅に下回り、助成資金が余っていることから、最大2020年末まで延長する。
政府は環境負荷の小さい電動車の普及が低調なことを受けて、購入補助金制度を議会で可決し、16年7月から受付を開始した。助成対象となるのはカタログ価格で6万ユーロ以下の電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)および燃料電池車(FCV)。助成額はEVが4,000ユーロ、PHVとFCVが3,000ユーロで、国とメーカーが折半する。総額は12億ユーロに上る。
日刊紙『ヴェルト』によると、これまでの申請件数は11万8,000件で、助成総額は4億ユーロ強だった。約8億ユーロの助成資金が使われずに残っていることになる。
政府は当初、同補助金を通して電動車の普及台数を20年末までに100万台へと拡大する目標だった。だが、電動車は内燃機関車に比べて価格が大幅に高いうえ、航続距離、充電時間、充電インフラの密度の面でも弱みが解消されていないことから、普及台数は政府の想定を大きく下回っている。電動車の普及に向けた政府諮問機関「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」はこの現実を踏まえ昨年9月、同目標の達成時期が22年に延びるとの見通しを明らかにした。
アルトマイヤー経済相は電動車を幅広く普及させるためには充電インフラ拡充のほか、電動車の価格低下と航続距離の拡大が必要不可欠だと指摘。メーカーに対しより魅力的な製品の投入を促した。