英政府は8日、インターネットの安全性を確保するための取り組みの一環として、ソーシャルメディア(SNS)や検索サイトを運営するグーグルやフェイスブックをはじめとするデジタルプラットフォーマーに対する規制強化策を発表した。SNSなどに児童ポルノやテロ活動などの有害コンテンツを掲載した場合、サイトの運営者に罰金を科したり、必要な対策を講じない場合はサイトへのアクセスを制限することが柱。法制化と並んで独立した監督機関の設置も検討する。
英政府が公表した政策文書によると、コンテンツを共有または検索したり、ユーザー同士が交流できるサイトを運営する全ての企業が規制の対象となる。児童の性的虐待、暴力や自殺の助長、人種差別といった有害コンテンツに加え、これまでグレーゾーンとされてきたネット上のいじめや偽情報の拡散なども厳しく監視する。あらゆる有害コンテンツを排除するため、政府はプラットフォーマーにファクトチェック機能の導入を義務付けることも検討する
違反した企業には多額の罰金を科すほか、企業のトップに法的責任を問うなど厳しい罰則を設ける方針。また、独立した監督機関の設立にあたり、インターネット企業から運営資金を徴収する案も検討すると説明している。
メイ首相は「インターネットは人々をつなぐ役割を果たしているが、企業はあまりにも長い間、ユーザー、とりわけ子どもや若者を有害な情報から保護するための対策を怠ってきた」と指摘。「新たな規制を導入すべき時が来た」と強調した。
3月にニュージーランドで発生したモスク(イスラム教礼拝所)銃乱射事件では、実行犯がライブ配信した犯行の動画をフェイスブックがユーザーの通報から30分間放置していたことが明らかになり、同社の対応に非難が集まった。こうした事態を受け、オーストラリアでは今月に入り、過激思想などに関連する「暴力的コンテンツ」を排除するための新法が成立した。テロや犯罪行為などの動画の削除を怠ったサイト運営者に対し、年間売上高の10%相当の罰金を科すほか、企業幹部に最高3年の禁錮刑を科すという厳しい内容。米国でも新たな規制の導入が検討されている。