英政府統計局(ONS)が10日発表した2019年1~3月期の国内総生産(GDP)は、物価変動分を除いた実質で前期比0.5%増となり、18年10~12月の0.2%増から加速した。当初3月29日に予定されていたEU離脱に備え、企業の間で物流が混乱する事態に備えて在庫を積み増す動きが広がり、生産が拡大したことが主因。4~6月期は反動で成長鈍化が見込まれる。
英国ではEU離脱をめぐる先行き不透明感から景気が減速傾向にあり、18年通年のGDP成長率は1.4%と、6年ぶりの低水準となった。しかし、1~3月期は当初の離脱期限が迫る中、多くの企業が合意なき離脱で物流が混乱する事態に備えて在庫を増やし、一時的な増産につながった。
ただ、10月末に期限が延期されたEU離脱の行方が依然として不透明なことに加え、米中の貿易摩擦なども不安材料になっており、自動車メーカーなどを中心に設備投資を控える動きが続いている。中央銀行のイングランド銀行は4~6月期のGDP成長率が0.2%増に減速するとの予測を示した。