欧州議会選、親EUの2大会派が過半数割れ

EUの欧州議会選挙(定数751)は26日、加盟する28カ国で投票が終了し、開票が進んでいる。最新の集計によると、親EU派の2大会派である中道右派の欧州人民民主党(EPP)、中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)はともに議席を減らし、過半数を割り込む見込み。自国第一主義を掲げる反EUのポピュリズム(大衆迎合主義)政党は躍進し、2割程度の議席を確保した。ただ、親EU派はリベラル系の欧州自由民主連盟、環境政党の緑の党を加えると3分の2を維持し、今後も議会を主導していくことになる。

議会事務局の最新集計に基づく議席予測(27日午前2時現在)によると、EPPは179議席となり、第1会派の座を維持したが、前回から38議席減った。第2会派のS&Dは36議席減の150議席だった。

反EUは英国、フランス、イタリアなどで第1党となるなど躍進。右派の欧州保守改革連盟(ECR)が58議席、自由と直接民主主義の欧州(EFDI)が56議席、極右の国家と欧州の自由(ENF)が58議席を確保した。反EUの3大会派は計172議席で、2割以上を占めることになる。ただ、予想ほど大きく伸びず、議会で主導権を握るには至らなかった。

親EU派が3分の2を確保できたのは、欧州自由民主連盟と緑の党の躍進が大きい。欧州自由民主連盟は107議席で、第3会派となった。緑の党を中心とする会派は70議席。これで親EU派の4会派が506議席を占めた。特に緑の党はドイツで社会民主党(SPD)を抑えて第2党となるなど大きく躍進。EUからの早期離脱を訴えるブレグジット党が1位となった英国でも得票率が倍増し、自由民主党、労働党に次ぐ4位に浮上。国政与党の保守党は5位に沈んだ。

投票率は過去20年で最高の50.95%。前回の42.61%を大きく上回った。欧州統合を支持する若い世代が、反EU派の台頭を嫌って、これまでより積極的に投票したことで、上昇したとみられる。これがリベラル系や緑の党の躍進を支え、反EU派が予想ほど勢力を拡大できなかった一因となったもようだ。

一方、ギリシャでは与党の急進左派連合(SYRIZA)が中道右派の最大野党・新民主主義党(ND)に敗北。これを受けてチプラス首相は26日、総選挙を前倒しで実施すると発表した。近く議会を解散し、6月末にも総選挙を実施する見通しだ。

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