欧州委員会は20日、EUと中国の間で民間航空に関する2つの協定を締結したと発表した。航空分野における関係強化により、安全管理の効率化や国籍条項に縛られない柔軟な乗り入れが可能になり、EU・中国間の貿易拡大や雇用創出が期待される。欧州委と中国航空当局は早期の協定発効に向け、それぞれ必要な手続きに着手する。
EUが中国と結んだ協定の1つは、航空安全に関する相互承認協定(BASA)。双方が安全性にかかる検査や認証を相互に受け入れることで、当局による検査の重複を回避し、耐空証明をなどの手続きを簡素化することを目的としている。航空機や部品などの貿易促進にもつながる。
もう1つの協定は、EU加盟国が第三国と結んだ既存の航空協定を維持したまま、国籍条項に関しては、EU域外へのフライトを運航する域内の航空会社をすべて「EU国籍」として同等に扱うための「ホリゾンタル・アグリーメント」と呼ばれるもの。これまでは中国と二国間協定を結んでいる加盟国の航空会社のみが、自国と中国を結ぶ路線を運航できたが、協定が発効すると国籍による制限が排除され、EU域内の航空会社は二国間協定を締結しているすべての加盟国から同じ条件で中国便を運航できるようになる。
欧州委のユンケル委員長は声明で「世界的に不安定感が高まる中、EUと中国のパートナーシップがこれまで以上に重要性を増している。今回締結した2つの航空協定はEUと中国の協力関係を強化し、双方の雇用創出と経済成長を促す大きな一歩だ」と強調した。