独バイオ業界の資金調達、過去最高に

ドイツのバイオテクノロジー企業がベンチャーキャピタルから昨年調達した資金の総額は前年比98%増の12億4,400万ユーロとなり、過去最高を更新した。一部の企業が巨額資金を獲得したことで、水準が押し上げられた。監査法人大手のアーンスト・アンド・ヤング(EY)がバイオ業界団体ビオ・ドイチュラントと共同作成した2019年版『ドイツ・バイオテクノロジー・レポート』で分かった。

同レポートでは資金調達源をベンチャーキャピタル、新規株式公開(IPO)、上場企業の追加資金調達の3つに分類している。18年はIPOがなかったものの、ベンチャーキャピタルからの調達が92%増の3億8,500万ユーロ、上場企業の追加資金調達が153%増の8億5,900万ユーロへとともに大きく拡大した。

ただ、ベンチャーキャピタル分野では医薬品開発のビオンテックが2億2,880万ユーロと全体の約60%を占めており、それを除いたベースでは22%減の1億5,700万ユーロと振るわなかった。

上場企業の追加資金調達でも分子診断のキアゲン(4億2,400万ユーロ)と医薬品開発のモルフォシス(2億300万ユーロ)が全体の73%を占めている。ドイツのバイオ企業が資金を調達しにくい環境は依然として改善されていないとEYは指摘した。

ドイツのバイオ企業数は631社となり、前年から5社(1%)の増加にとどまった。18年に設立された企業は15社で、前年の27社を大きく下回っている。EYは、巨額の資金を要する新薬開発企業が新設企業に占める割合は60%から20%へと大きく低下したと指摘。ドイツのバイオ企業が資金を得にくいことを示す間接証拠だと強調した。「資金調達のエコシステムが欠如している」ことが問題だとしている。

業界売上高は43億6,000万ユーロで、前年を9%上回った。上場企業が16%増の18億9,700万ユーロと大きく拡大。それ以外の企業は4%増の24億6,600万ユーロと伸び率が小さかった。

研究開発費は4%増の12億3,000万ユーロだった。内訳は上場企業が6%増の4億7,200万ユーロ、それ以外が3%増の7億5,800万ユーロだった。上場企業数は21社と少ない。

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