独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)はこのほど、ロシア向けに完成車の分解輸出を行っていたスロバキア東部ハニスカの工場を閉鎖した。輸入車の関税引き下げに伴い同工場が意味を失ったことが理由。輸出台数は2004年の開所以来、13万5,000台に上る。同工場は従業員数約100人と、VWが同国に持つ4つの工場の中で最も規模が小さい。
VWはロシアで新車の輸入にかかる高額の関税を避けるため、ブラチスラバの基幹工場で生産した完成車をハニスカ工場で分解し、鉄道で現地に輸送してからノックダウン生産する形をとっていた。当時のロシアの新車輸入関税率は30%だったが、2012年の世界貿易機関(WTO)加盟を機に現行の20%まで段階的に引き下げられ、今年中に15%になる予定であることから、ハニスカ工場での分解作業はメリットがなくなった。
VWはまた、スロバキア南西部のストゥパヴァ工場で使用していた世界最大級の金属3Dプリンターを独ヴォルフスブルクの本社拠点に移設することも決定した。同プリンターは独コンセプト・レーザー社の「X Line 2000R」で、2017年の導入以来、機能部品や試作品、工具などを製造してきた。