2019/5/8

総合・マクロ

北マケドニア大統領選、国名変更支持の与党候補が勝利

この記事の要約

北マケドニア(旧マケドニア)で5日実施された大統領選挙の決選投票は、今年2月の国名変更を支持する与党・社会民主同盟(SDSM)推薦のステヴォ・ペンダロフスキ候補(56)が51.7%を得票して当選した。国名を変えることでギ […]

北マケドニア(旧マケドニア)で5日実施された大統領選挙の決選投票は、今年2月の国名変更を支持する与党・社会民主同盟(SDSM)推薦のステヴォ・ペンダロフスキ候補(56)が51.7%を得票して当選した。国名を変えることでギリシャとの対立を解消し、北大西洋条約機構(NATO)・欧州連合(EU)加盟交渉開始へ道を開いた与党の政策が、国民の承認を受けた形だ。投票率は46.7%と低く、選挙成立の要件である40%こそ上回ったものの、改革の遅延によって国民の多くが政治への信頼を失っている様子がうかがわれる。

選挙管理委員会が開票終了後に発表した得票率は、ペンダロフスキ候補が51.7%、野党・国家統一民主党(VMRO-DPMNE)のゴルダナ・シルヤノフスカダフコヴァ候補(63)が44.7%だった(無効票:3.6%)。シルヤノフスカダフコヴァ候補も親欧派だが、選挙戦では国名変更を「マケドニア人の民族的アイデンティティを侵す」ものとして強く非難した。ただ、「すでに結ばれた国際協定は尊重する」とも話し、ギリシャとの合意をくつがえすかどうかについては断定を避けていた。

マケドニアの大統領は形式上の国軍最高司令官であり、議会で成立した法案を拒否する権限もあるが、基本的には儀礼的な役割を果たす。しかし、今回は国民を二分した国名変更後、初の選挙だったため、国民の意思を確認する機会として注目を集めていた。与党は選挙結果を踏まえ、年末のNATO加盟と、来月のEU加盟交渉開始に自信を深めている。

ペンダロフスキ氏は北マケドニアのNATO加盟に向けた調整役を務め、今年2月のNATOによる同国加盟承認に尽力した。先月の第一回投票ではシルヤノフスカダフコヴァ氏との差はわずか4,000票に過ぎなかったが、アルバニア系政党の候補を支持していたアルバニア人の票の取り込みに成功し、決選投票で当選を決めた。

NATO・EUの加盟国であるギリシャは、国名問題を理由にマケドニアの両組織への加盟を承認しない立場をとってきた。「ギリシャ北部のマケドニア地方との区別が難しく、将来的に領土問題に発展する懸念がある」と説明していた。しかし昨年6月、両国首相が「北マケドニア」への国名変更で合意し、今年2月に実施されるに至った。