EU・中国首脳会議、20年までの投資協定妥結で合意

欧州連合(EU)と中国は9日、ブリュッセルで首脳会議を開き、2020年までに投資協定を妥結する方針で合意した。世界貿易機関(WTO)の改革に向けて協力することも確認し、自国企業に対する補助金や外国企業に対する技術移転の強要など、市場をゆがめる政策の是正も共同声明に盛り込んだ。

会議にはEUからトゥスク大統領と欧州委のユンケル委員長、中国からは李克強首相が出席した。共同声明は保護主義に対抗してWTOルールを順守することや、補助金に関する国際ルールの強化について協議することを明記した。トゥスク氏は会議後の記者会見で「中国と合意できたことは大きな前進だ」と強調。李氏も「外国企業向けにビジネス環境を改善する用意がある」と応じた。

EUは中国企業による欧州企業の買収やインフラ投資が加速していることを背景に、3月の首脳会議で対中戦略の見直しについて協議。中国をパートナーであると同時に「競争相手」と位置づけ、市場開放を求めて中国への圧力を強める方針を確認した。

EU側は今回、この方針に沿って中国に投資環境の改善や補助金政策の見直しを強く求めたが、事前協議は難航した。中国が長年の懸案となっている投資協定の早期妥結などに難色を示す中、EU加盟国からは具体的な進展がなければ共同声明を出すべきではないとの声も上がったが、最終的に米国との貿易摩擦を抱える中国がEU側に歩み寄った格好だ。

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