ドイツ人工知能研究センター(DFKI)とアーヘン工科大学(RWTH)は、人工知能(AI)をベースにしたレジリエンス・マネジメントモデル(製造業をとりまくリスクに対処するためのフレームワーク)を開発する共同研究プロジェクト「SPAICER」を計画している。現在、ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWi)の助成プログラムに応募するための詳細なプランを策定している。
この研究プロジェクトは、心理学におけるレジリエンス(回復力)を製造業に適用したもので、レジリエンスとは、変化が起こることによって生じる困難に対応し、復元していく能力やプロセスを意味する。
研究チームは、製造業における環境の変化(新しい競合の出現、顧客ニーズの変化、規制の導入、技術の転換など)により困難が発生した際に、人工知能(AI)を活用して、品質、コスト、生産時間などにおける悪影響が拡大する前に、迅速に対処するためのレジリエンス・マネジメントモデルの開発を目指す。
■ DFKIとRWTHが協力
この研究プロジェクトは、ドイツ人工知能研究センター(DFKI)のスマートサービスエンジニアリング研究部門、アーヘン工科大学(RWTH)の工作機械製造研究室(WZL)およびアーヘン工科大学(RWTH)テクノロジー・イノベーションマネジメント研究所(TIME)が共同で実施する。
プロジェクトの実施においては、さまざまな企業の協力を得る必要があるため、研究チームは6月にベルリンでSPAICERシンポジウムを開催する予定。
■ BMWiの助成プログラムに応募
この研究プロジェクトは現在、ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWi)の助成プログラム「人工知能のアイデアコンテスト」に応募のあった計130件のプロジェクトの中から選出された35件に残っている。
これら35件のプロジェクトはBMWiの助成を得て、8月半ばまでにプロジェクトのコンセプトの詳細を作成・提出しなければならない。BMWiは、詳細なコンセプトを選考し、2020年1月から始まるプロジェクトの実施期間の助成対象になるかどうかを検討する。