ベルリン州政府は18日の閣議で、家賃の引き上げを5年間、禁止することなどを定めた法原案を了承した。州内の家賃が急上昇し、市民の不安・不満が高まっていることを踏まえた措置で、10月に法案を了承して年内に議会で可決する。施行は来年1月の予定だが、州政府は6月18日にさかのぼって適用する意向だ。家賃の凍結期間を利用して新築住宅を増やし、供給不足の解消を目指す。
ドイツでは大都市を中心に住宅不足が深刻化し、家賃が急上昇している。このため、高齢者が長年住み慣れた賃貸住宅をやむなく引き払うなどの問題が発生。ベルリンでは賃貸住宅会社からの所有権はく奪などを求めるデモが起きた。
社会民主党(SPD)と左翼党、緑の党からなる同州の左派政権はこの事態を深刻に受け止め、今回の法原案を作成した。新築住宅と低所得者向けの社会住宅を除いて家賃の値上げを5年間、禁止することが柱で、違反者には最大50万ユーロの過料支払いが命じられる。約150万件の賃貸住宅が対象となる。
法原案にはこのほか、◇家賃の上限を設定する◇住宅の近代化に伴う家賃の値上げ幅が1平方メートル当たり0.5ユーロを超える場合は許可の取得を義務づける——ルールも盛り込まれている。家賃の上限額は未定。
ベルリンでは18日付で家賃の引き上げが禁止されることを見据え、駆け込み値上げが相次いだもようだ。