大日本印刷(DNP)は3日、ボックスを開けることなく内容物の確認や温度管理ができる電波透過型の断熱ボックスを独va-Q-tecと共同開発したと発表した。両社の技術を組み合わせ内容物に貼付されたICタグなどの情報を外から読み取れるようにした。2社は適切な温度管理が求められる医薬品などの輸送用に2020年から販売する計画だ。初年度の売上高で10億円を目指す。
医薬品の運搬では指定温度を確保する必要があるため、断熱性の高い輸送用のボックスが利用される。従来の断熱ボックスは、水蒸気や酸素などを通しにくいアルミなどの金属を蒸着したフィルムを含む真空断熱パネルを使用しており、その金属が電波を遮断してしまうことから、ICタグや温度センサーを無線通信で読み取ることができなかった。このため、内容物の確認のために断熱ボックスを開けなければならず、内部温度をいかに維持するかが課題となっていた。
両社はこの課題を解決するために協業した。DNPは産業用途などで培った水蒸気や酸素への高いバリア性を持つ透明蒸着フィルムや、真空断熱パネルで培ったノウハウ、va-Q-tecは真空断熱ボックス技術をそれぞれ持ち寄り、電波の透過技術を確立。ICタグや温度センサーの無線通信を利用できる断熱ボックスを開発した。同ボックスは開けることなく内容物や内部温度を確認できるため、医薬品の品質安定とすり替えなどの偽薬防止対策に活用できる。