独エーオン、イノジー買収めぐる競争上の是正策提示

独エネルギー大手のエーオンは6月24日、国内同業イノジーの買収に難色を示すEUに対して、競争上の是正策を提示したと発表した。買収計画の承認に向けて、ドイツとハンガリー、チェコの一部事業・資産を手放す。

エーオンと独同業RWEは2018年3月に事業交換で合意。RWEは子会社イノジーの株式76.8%をエーオンに譲渡し、エーオン株16.67%を取得した上で、イノジーの再生エネとガス貯蔵事業、イノジーが保有するオーストリアのエネルギー大手ケラークの株式49%を握る。エーオンの再生エネ事業も取得する。一方、エーオンはイノジーを統合し、同社の残る事業(送配電、電力小売事業など)取得することになっている。

EUの欧州委員会は2月、RWEがエーオンの再生可能エネルギー発電事業を取得することを無条件で承認した。しかし、エーオンによるイノジー買収に関してはドイツやチェコ、スロバキア、ハンガリーの送配電市場などで寡占が強まり、電力価格の上昇を招く恐れがあるとして承認を見送り、本格的な調査を開始することを決めた。

エーオンが提示した是正策は◇エーオンがハンガリーで展開する電力小売事業の一部を売却する◇イノジーのチェコの電力・ガス事業を売却する◇エーオンがドイツの暖房事業の顧客の一部を他社に移管する◇エーオンがドイツ国内の高速道路(アウトバーン)沿いの32カ所に設置している電気自動車向け充電スタンドの運営権を手放す――という内容だ。

欧州委は9月20日までに調査を終え、買収の可否を最終判断することになっている。

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